焼肉屋の内装工事について

焼肉屋は大きく「大衆店」「高級店」の2つに分けられます。焼肉屋をオープンする際は、まずはどちらの方向性で営業するのか検討して、コンセプトをはっきりさせていきましょう。コンセプトは、できるだけ詳細なところまで考え、焼肉屋の内装設計に落とし込んでいきます。この記事では、焼肉屋を新規に始める場合の内装工事について詳しくご紹介します。

焼肉屋開業の際の内装工事費用について

焼肉屋を開業する際は、どの程度、内装工事にお金がかかるのでしょうか?焼肉屋を開業する場合、できるだけ多くの資金を用意したいところです。焼肉屋は、設備の導入に多額の費用を要するため、開店後の運転資金のことも考慮すると、3000万円ほどは用意しましょう。

この開業資金のうち、約半分の1500万円ほどを内装整備に充てます。焼肉屋の内装工事の坪単価は40万円前後です。店舗の大きさにもよりますが、15~20坪程度の一般的な大きさのお店ならこの程度、小さなお店ならこの単価よりもやや高くなると考えましょう。

規模を大きくすれば坪単価は低下しますが、特に理由や目的もなく規模を拡大してもビジネスを圧迫するだけです。開店後の運営も考えて、無理のない範囲で店を作ることが大切です。

焼肉屋に求められる内装とは

焼肉屋は大衆店と高級店に分けられるというお話をしましたが、どちらにも共通して求められるのは「肉を焼くための器具」と「煙を排出するための設備」です。焼肉屋の場合は、焼くための器具を各テーブル、煙を排出するための設備もある程度充実させる必要があります。ほかの飲食店では、ここまでそろえる必要はないので、これだけでも焼肉屋の内装の整備にはお金がかかりがちになることがわかっていただけるのではないでしょうか。どうしてもそこまで資金を用意できないという場合は、ほかの方法を考えなければなりません。そのチョイスとなるのが居抜き物件です。

居抜き物件とスケルトン物件

内装や排気設備がすでに整っている物件のことを居抜き物件と呼びます。ただし、ラーメン屋など、ほかの飲食店が入居していた物件の場合、そのままでは焼肉屋として使うことはむずかしいでしょう。前のテナントが焼肉屋であれば、あまり手を加えずに、営業を始められる可能性があります。

ただし、ご自身で考える内装イメージに合った物件でないと、大規模な内装工事が必要になり、いくら設備が整っていたとしてもあまりお得ではありません。設備工事が必要になる場合もあるので、物件選びは居抜き物件よりもかなりシビアになります。必要のない器具などが残されている場合は、処分のための出費もかかります。居抜き物件は必ず専門家とともに内見して、アドバイスを得てから借りるかどうか決めましょう。

スケルトン物件の場合は、最初から内装を作るため、排気設備、コンロ、厨房設備などは、すべて地力でそろえる必要があります。出費はかさみますが、ご自身の好みを100%反映した店作りができるという利点もあります。自由度が高く、最新鋭の設備を導入できるので、高級店にはぴったりな物件です。

このように考えると、費用を抑えて開業するのであれば、元々焼肉屋だった居抜き物件を選ぶ必要があるでしょう。

大衆店の内装

物件について説明したところで、ここからは大衆店、高級店、それぞれに合った内装について考えていきたいと思います。

大衆向けの焼肉屋の場合、基本的に「にぎやか」で「入りやすい」お店であることが重要です。なるべくオープンでカジュアルな雰囲気を作ることが大切です。

一方、高級な焼肉屋の場合は、居心地がよいことはもちろんですが、「個室」が欲しいところです。ひとり、もしくは二人で座れるようなカウンター席を用意し、静かに食事をしながら話せる場所を提供します。店の雰囲気はコンセプト次第ですが、安っぽくならないよう、インテリアや造作にも気を遣いましょう。

焼肉屋の内装工事で注意すべきポイント

焼肉屋の内装工事では、注意すべきポイントがいくつかあります。飲食店としてとても大切なことなので、必ずチェックしておきましょう。

グリルの種類

焼肉屋に設置するグリルには「テーブル一体型」と「卓上型」に分けられます。これらはさらに「炭火焼き」と「無煙ロースター」に分けられます。どちらを設置してもよいのですが、店内の環境を考えると、煙のほとんど出ない無煙ロースタータイプがよいでしょう。

無煙ロースターはさらに細分化され、ダクトを付ける必要がなく、設置場所も選ばない「ノンダクトタイプ」、床下にダクトを作り、そこに接続する「ダクトタイプ」、テーブルの上に排気用のフードを設置する「上引きタイプ」があります。

これらはイメージする店の内装に合わせて選べばよいでしょう。

吸排気管について

焼肉屋で問題となる煙は、無煙ロースターを使えば解決できる問題ではありません。快適な店内環境を実現するためには、吸気・排気用の管を店内に設置するとよいでしょう。予算が許す限り、なるべく性能のよいものを取り付けることが望まれます。

メンテナンス性

油で汚れやすい焼肉屋の設備は、メンテナンス性に優れるものを選ぶことが大切です。テーブルやグリルとその周辺には、汚れをかんたんに拭き取れるような素材を使うのが効果的です。

壁面も油で汚れやすいので、防汚加工やウレタンコートを施しておくと、掃除しやすくなります。

床は油っぽくなるとすべりやすく危険です。毎日掃除することはもちろんですが、お客様が歩きにくさを感じないよう、つなぎ目のない床材を選ぶとよいでしょう。

ダクトも汚れがひどくなる場所です。掃除しやすいかんたんな作りのもの、とりはずしがかんたんなものを選ぶことが重要です。

食器にもこだわりを

焼肉屋の内装についてのお話をしてきましたが、ここでは食器のお話をします。食器は「食材をのせるだけの器」と考えることもできますが、それではあまりにも食器がかわいそうです。食器には、店内のインテリアとしての役割もあります。お肉や内装デザインにこだわるなら、器にもこだわらないと「詰めが甘い」としか言いようがありません。

器は雰囲気を作り、食材をおいしそうに見せてくれます。和食でも洋食でも、メニューに合わせて器を選びます。焼肉屋でも、ちょっと食器にこだわるだけで、お店にキャラクターを加えることができるでしょう。

内装デザインは無理なく!開店後の資金も重要

焼肉屋の内装は、工事、厨房・店内機器、電気やガスなどの設備工事を需要して進めましょう。そのあと、資金の許す範囲で内装をデザインしていきます。

ご紹介したように、大衆店なら大衆店なりの、高級店なら高級店なりの店の作り方があります。しかし、どちらにしても、お客様が心地よく、おいしく焼肉を味わってもらえるような内装を作り上げることが大切です。ターゲットとなるお客様の行動をよく考え、それに合わせて内装を整備しましょう。

焼肉屋は、開業時の出費が大きくなりがちですが、忘れてはならないのが開業後の運転資金です。内装にお金をかけすぎて資金がショートすることがないよう、物件や業者も含めて慎重に選ぶ必要があります。

内装工事業者を探す際は、比較サイトを利用するのがおすすめです。複数の業者に見積りを出すことにより、工事の内容や見積金額をかんたんに比較することが可能なので、店のコンセプトが決まったら、ぜひ利用してみましょう。